「首の痛みがひどくて眠れない…」
「腰の痛みから足まで痺れてきた…」
大変な毎日を過ごされている方は、このような症状にも悩まされているのではないでしょうか?実際に病院で診てもらった際に、「これはヘルニアですね」と告げられた経験もあるかと思います。
ヘルニアと言われてしまえば、ある程度付き合っていくしかないと諦めもつくかもしれません。ですが、ヘルニアって何なのかと思われたことはありませんか?
ヘルニアは治らないものと思っているかもしれませんが、正しく対処していけば痛みや痺れに悩まされることはないのです!
ヘルニアといってもたくさんの種類があるのですが、その中でも特に多い「椎間板ヘルニア」に関する正しい知識を皆様にお伝えしようと思います。
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椎間板ヘルニアとは?
まず背骨は7個の頸椎(首の骨)、12個の胸椎(胸の骨)、5個の腰椎(腰の骨)によって構成されています。
背骨1つずつの骨と骨の間には「椎間板」と呼ばれるクッション材のようなものが存在します。この椎間板があるおかげで、体への負担を軽減させることができるのです。
そして椎間板の中にはゼリー状の「髄核」と呼ばれるものがあり、椎間板に何らかの負荷がかかってくると、髄核が後方に飛び出してしまいます。その際に神経圧迫を起こしたり、髄核そのものが炎症を起こしてしまうために、痛みや痺れに悩まされるようになります。
これを「椎間板ヘルニア」と呼びます。ヘルニアという言葉そのものの意味は「何かが飛び出すこと」です。
椎間板ヘルニアは比較的若年層に多い病気で、早いと10代から発症し始めます。椎間板ヘルニアは女性と比べると男性が2倍ほど患者の数が多く、年齢別にすると20代~40代に多くみられる病気です。
ちなみに軽いヘルニアであれば自然に治ることもあります。
ヘルニアの種類
ヘルニアといっても実は何種類もあります。今回は、ヘルニアの中でも特に多くの方が悩まされている「椎間板ヘルニア」について解説したいと思います。
椎間板ヘルニアには「腰椎椎間板ヘルニア」「頚椎(けいつい)椎間板ヘルニア」「胸椎椎間板ヘルニア」の3種類があります。その中でも特に多いのが以下の2つです。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは、長時間のデスクワークや激しいスポーツなどによって継続して腰に負荷がかかり、腰椎の椎間板の中にある髄核が外に飛び出して神経圧迫を起こしたものです。
主な症状は、腰や臀部の痛み、足の痛みや痺れ、症状がひどくなると足に力が入りにくくなります。また、重いものを持ったりすると痛みが強まることがあります。
頚椎(けいつい)椎間板ヘルニア
こちらもやはり、首への強い負荷が原因で引き起こされます。
首や肩、腕に痛みや痺れが出ます。症状が悪化してくると、うまく箸を使えなくなったり、服のボタンがかけづらくなったりします。
場合によっては足がもつれたり、歩行障害が出ることもあります。
注意しなければならないことは、うつ伏せ姿勢で寝ること。うつ伏せ寝は、首をねじった姿勢で長時間保たれます。すると、頸椎は変な形で圧迫を受け続けることになり周りの筋肉にも負荷がかかり筋肉が硬直し症状が悪化する場合もあります。
椎間板ヘルニアの原因
姿勢
一般的に首や腰への負荷が強くなるのは「悪い姿勢の時」です。
長時間のデスクワークで猫背になってしまうと、良い姿勢の時よりも2倍以上腰に負荷がかかります。また、猫背の時は首が前方に傾くため、頭の重さ(約4kg)を首だけで支えなくてはならなくなります。長時間そのような姿勢でいると首や腰の椎間板への負荷が大きくなり、ヘルニアの原因になってしまいます。
また、意外かもしれませんが、腰への負荷は立っているよりも座っているときの方が大きくなります。そのため、車の長時間の運転、デスクワークなど、長時間座る機会が多い人は注意が必要です。こまめに立ちあがって体を動かすようにしましょう!
加齢
椎間板は毎日僕たちの体重を支えるため、負荷がかかり続けています。そのため、加齢とともに少しずつクッション機能が低下していくのです。
また、椎間板には血管が無いため栄養がいきわたりません。水分量も徐々に失われていき、なんと10代から劣化が始まっていくのです!
加齢による影響を受けやすいのは20~40代です。
遺伝
椎間板ヘルニアは遺伝的な要因もあります。
もともとの体質や骨の形が影響するためで、椎間板ヘルニアの原因の約2割は遺伝によるものと言われています。
体重の増加
これは特に腰椎椎間板ヘルニアの原因ともいえますが、体重が増加することで座っている時や立って何かをする時の腰への負担が強くなってしまうためにヘルニアの症状を引き起こしてしまうのです。
実際に、病院でヘルニアを告げられた際に「もっと痩せましょう」と言われたことがある方は少なくないのではないでしょうか?もしかしたら、椎間板ヘルニアを引き起こす原因で一番多いのは悪い姿勢や加齢よりも「体重の増加」かもしれません。
痛みを和らげるには?
姿勢を意識する
もしもヘルニアになってしまったのであれば、悪い姿勢にならないように意識しましょう。
先ほどもお伝えしましたが、座っている姿勢は立っている時よりも首や腰への負担が大きいです。そのため、猫背などの悪い姿勢で長時間座らにようにして、こまめに歩き回ったりして体を動かすようにします。
集中していて気が付いたら長時間経過してしまうという方。クッションなどを利用するか、椅子そのものを変えるかなど工夫をすることも大切です。
腹筋を強化する
良い姿勢を維持できるようにするには「インナーマッスル」を鍛える筋トレが効果的です!腹筋が弱い方は猫背になりやすいと言われています。腹筋をしてお腹まわりの筋力を強化させましょう。姿勢の維持だけでなく筋肉がコルセットのような役割をするため腰にかかる負担を軽減できます。
また、インナーマッスルの強化は骨格を歪ませない役割があるため、そもそも体にかかる負担を減らすことができ症状の改善が期待できます。
ストレッチやマッサージをうける
ヘルニアになると痛みの出てる周辺の筋肉が硬直してしまいます。硬直している筋肉をストレッチやマッサージによってほぐすことができればヘルニアの症状を軽減できます。
実は、ヘルニアを治すことは手術などを行わない限りは難しいのですが、手術をしなくても硬直した筋肉を緩めることが出来れば痛みの緩和は可能です。炎症によって痛みがでているだけなので、数ヶ月時間が必要になりますが、定期的にストレッチやマッサージで筋肉へのケアをしていけば痛みに悩まされることもなくなってきます。
体重を落とす
もしも大幅な体重増加後にヘルニアを発症してしまった方は、太ってしまったことで椎間板に負荷がかかって痛みを引き起こしてしまった可能性が高いです。体への負荷を減らすために、ケアと同時にダイエットにも励みましょう!
「何キロぐらい落とせばいいの?」とよく聞かれるのですが、個人差もあるので細かく○○キロ落としましょう!とは言い切れません。
1つだけ言えるのは、体重増加によって立ち姿勢・座り姿勢にも変化が現れて体に負荷がかかりやすくなったということです。なので、ダイエットをしながら姿勢も同時に意識することで腰や首などの痛みを和らげることができます。
椎間板ヘルニアのケア方法(首、腰)
椎間板ヘルニアになってしまった場合は、日頃から首や腰周りの筋肉を柔軟にしておくことが大切です。少しでも早く症状を緩和させるための自宅で簡単にできるストレッチをご紹介します。
タオルストレッチ(首)
頚椎椎間板ヘルニアになってしまった時は、タオルを使ったストレッチが効果的です。
- 両手でタオルも持ち、首の後ろにかける
- 両手でタオルの端を握り、胸の前で下に引く
- 頭を後ろに倒しながら、両手を斜め上に引っ張る
- その状態のまま、10秒キープする
- 一呼吸おいてから同様のストレッチを合計3セット行いましょう
体ひねり(腰)
- あおむけに寝て、両ひざを立てます
- 両肩が床から離れないようにして、両ひざをゆっくり真横に倒す。
- 倒した状態で、10秒キープ
- 左右それぞれ10回ずつ行いましょう
腰部ストレッチ
- 仰向けになって両膝を曲げ、両手でゆっくりとかかえます
- 腰やお尻につっぱりや痛みを感じたところで止め、そのまま5秒間保ちましょう
- ゆっくりと元に戻します
自然治癒する場合もある?
椎間板ヘルニアに関しては、できるだけ日常生活で患部に負荷をかけないようにすれば自然に痛みがおさまる場合があります。
もちろんすべての椎間板ヘルニアに当てはまるわけではありませんが、飛び出した髄核の炎症がおさまれば痛みは緩和されていきます。自然治癒するまでの期間は個人差がありますが、3~6か月でおさまることが多いです。
椎間板ヘルニアの症状を早く緩和させるのであれば、なるべく症状の出ない動作を心掛けることが重要です。少しでも早く楽になりたいがために手術を選択することもあるかもしれませんが、個人的には手術はあまりおすすめしません。手術後に再発したという話も少なくはありません。時間はかかっても生活を工夫したり、整体やマッサージに通いながら治癒する方法が良いかと思います。
まとめ
いかがでしたか?
ヘルニアの症状は根気強くケアをしていけば、時間はかかりますが改善されていくものです。さらにそこから症状を悪化させないために定期的にセルフケアをしたり、エクササイズを日常生活に取り入れていくことが重要です。
整体サロンやマッサージ店など、プロの力を借りることも大切だと思いますので各々のケア方法を考えていきましょう!