
高齢者が増加している日本社会において、最近では「フレイル」というワードを目にする機会が増えたのではないでしょうか?
健常者と要介護者の間に位置する状態のことを指します。これは誰しもに訪れる問題となっていて、フレイルの特徴などを今から知っておくと、将来的な予防に繋がります。もちろん、フレイルの状態になっている方でも、具体的な改善方法があるので知識として持っておくと良いはずです。
今回は、フレイルとは何なのか?フレイルのチェック方法、予防や改善方法についてまとめていきます。
フレイルとは?

フレイルとは、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、病気ではないけれども健常者と要介護者の間の虚弱な状態のことを言います。
大きな事故や病気によって、要介護状態になることもありますが、多くの場合はフレイルの状態を経て、要介護状態になると言われています。
しかし、フレイルであることに早めに気付き、対策をとっていけば、健康な状態に戻ることができるのです。
何歳ぐらいでフレイルになる?
何歳からフレイルの状態になっていくのか?具体的に「〇〇歳~フレイル」と明確にはなっていません。身体状況によって個人差があります。
ただ、65歳以上の日本人を対象とした調査では、
- 75歳未満でフレイルの方は5%以下
- 80代前半では約20%
- 85歳以上になると約35%
これだけの方がフレイルであったと分かっています。高齢になればなるほどフレイルに注意が必要ということです。
フレイルセルフチェック
フレイルかどうかを診断する基準としては、以下の5項目が挙げられます。
- 体重が意図せずに1か月で2kg以上減少する
- 全くやる気の出ない日が週に3~4日以上ある
- 歩行速度が遅くなっている
- 握力が弱くなる(握力:男性<28kg、女性<18kg)
- 体を動かす機会が減り、身体活動量が低下している
3つ以上に当てはまる場合はフレイルとして診断されます。1つまたは2つ該当する場合はフレイル前段階と言えるので注意が必要です。
フレイルを引き起こす原因

フレイルを引き起こす原因は1つではありません。身体的問題や精神的問題など多岐にわたりますが、 大きく分けると「栄養不足・運動不足・社会参加の不足」の3つです。1つずつ細かく説明していきます。
栄養不足
加齢による食欲不振や、歯やアゴの力の問題で食事量が減少して栄養不足になりがちです。栄養不足になると、全身の筋肉量が減少してしまうので、体の機能が低下し、フレイルへと繋がります。
運動不足
外出する機会や運動への意欲が低下し、身体活動量が徐々に減っていきます。それにより、筋肉量が低下していきますが、高齢期にみられる筋肉量の減少と体の機能の衰えは、「サルコペニア」と呼ばれ、フレイルの原因の一つとなっています。
社会参加の不足
社会との関わりが減り、他人との交流が減ってしまうと、心の健康が損なわれていきます。ボランティアなどで社会との関わりを持っている人は、フレイルに対するリスクが低いと報告されているため、社会参加の機会が減ることで、フレイル状態に繋がっていきます。
他にも、
- 喫煙
- うつ
- 孤立
なども、疾病や老化の過程に影響してフレイルを生み出す要因となります。
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フレイルとサルコペニアとの違いについて
ここで一度、「サルコペニア」についても解説していきます。
サルコペニアとは、加齢にともなって筋力が低下していき、握力の低下や歩行速度の低下など身体機能が低下した状態のことを言います。
それに対してフレイルは、身体的な問題だけでなく、認知能力の低下などの精神的な問題や経済的困窮などの社会的な問題といったさまざまな面での虚弱状態を指します。サルコペニアは身体的な問題としてフレイルを引き起こす原因の1つとなっています。
フレイル予防&改善策

フレイルに関する知識を持っているだけで、フレイルの予防だけでなく改善にも繋げていけます。毎日の習慣を少しずつ改善してフレイル対策をしていきましょう!
運動
筋力の維持・向上のために運動習慣をつけることはとても大切です。もちろん筋力の維持だけでなく、心身の健康にも役立ちます。65歳以上の方の体を動かす時間の目安は、1日あたり合計40分と言われています。
65歳を超えてから急に運動を始めるのも難しいので、できるだけもっと若いうちから体を動かす習慣を身につけておきましょう。
栄養
フレイル対策の軸は栄養です。栄養バランスのとれた食事を1日3食しっかり食べましょう。
また、「歯の健康状態」も重要な要素で、65歳以上でどれだけ健康な歯が残っているかによっても、食習慣が変わってきます。いつまでもおいしく楽しい食事を楽しむために、歯のケアは若いうちからやっておきましょう。
65歳以上からの食事では「たんぱく質」の摂取が重要になります。たんぱく質量が減ってしまうと、筋肉量も減少します。そのため、たんぱく質は高齢の方にとって重要な栄養素の1つです。日頃の食生活をふりかえり、毎回の食事にたんぱく質を含む食材をプラスすることから始めてみましょう。
生活習慣病の改善を意識する
禁煙、酒を控えることもフレイルを引き起こす生活習慣病を改善することに繋がります。
地域の人との関りを持つ
地域の人と一緒にお茶や食事を楽しむだけでも元気を取り戻すきっかけになります。外出することがフレイル予防に繋がりますので、少しずつでも良いので交流を広めてみましょう。
人生を楽しむ
食事や運動も大切ですが、何よりも人生を楽しむことが重要です。
家族や友人との交流、スポーツ、スポーツ観戦、旅行に出かけるなど、何でも構いません。人生を楽しむことが活動量を増やし、健康につながり、いつもと違う日を過ごすことで刺激を得られます。
まとめ
いかがでしたか?
フレイルについての知識は今後必ず必要になってきます。65歳以上に起こりやすい問題と説明してきましたが、もっと早い段階でフレイルに突入する方もいるはずです。フレイルは、高齢者だけの話ではなく、すべての人に起こりうることです。フレイル対策を今から始めていきましょう!